徘徊の原因と対処法

認知症になったからといって、必ずしも徘徊するわけではありません。徘徊は認知症患者の60%を占めるアルツハイマー型認知症の症状の1つです。徘徊のきっかけとなるのは、強い不安やストレスであると考えられています。

何もきっかけがなくても、徘徊が始まることもあります。血管性認知症と呼ばれるもので、脳内の血管が塞がって起こる病気の症状です。また、前頭側頭型認知症は、前頭葉と側頭葉が委縮する病気ですが、初期の頃に徘徊がみられます。

上記のように徘徊の原因はいくつかあります。共通して言えるのは、徘徊している方は、目的を持っているということです。目的もなく歩き回っているわけではありません。具体的な例をあげると、たとえば「子供を探している」という方がいます。施設に入居していますが、突然、子供のことが気になります。子供といっても、すでに成人しているわけですが、認知症患者の頭の中では、子供はまだ幼いのです。そこで、「子供はどこに行ったんだろう?早く探さなければ」と、歩き回ってしまうのです。周囲から見ると全く意味が分からなくても、本人にとっては筋が通っており、意味があって徘徊するのです。

この他にも「仕事に行かなければいけない」「母親の所に帰りたい」など、さまざまな理由で徘徊を始めます。理由が分かると、対処法が見つかる可能性があります。「お子さんはお父さんの所にいますよ」「仕事は休みですよ」など、適切な声掛けができれば、徘徊を防止できます。対処法を知るためには、まず、徘徊の理由を聞くことから始めましょう。