介護職員に求められる徘徊への観点

もし、認知症のある高齢者が徘徊して事故やトラブルを起こした場合、介護施設や介護職員の法的責任が問われることがあります。したがって、法的な観点をよく理解することが重要です。しかし、介護の仕事にはさまざまな側面があり、法的視点だけでなく、精神的、倫理的視点からも考えなければなりません。

介護施設での仕事は、単に利用者の日常生活を支えるだけでなく、彼らの生活の質(QOL)を高めることにも関与します。それには、個々の利用者の心理的、身体的ニーズを理解し、尊重することが重要です。特に認知症のある高齢者に対しては、その人が安心して生活できるような環境を提供するために、家族との密接なコミュニケーションが必要となります。そのため、利用者やその家族と良好な関係を築くためのコミュニケーションスキルを身につけることが必須です。

また、倫理的な判断も不可欠です。認知症のある利用者が施設から徘徊した場合、それが利用者自身の意志であったとしても、その行動が利用者自身や他人に危険をもたらす可能性があるのなら、介護職員として適切な対策を取ることが求められます。

その際、法的な責任だけでなく、利用者の尊厳や自由を尊重するという倫理的な観点から考えることも必要です。さらに、精神的な面から考えると、介護職員自身のストレスの処し方も重要なテーマとなります。介護の仕事は、感情的な負担が大きく、過労や燃え尽き症候群などに陥るリスクが低くありません。そのため、自分自身の健康を維持し、適切なパフォーマンスを維持するために、ストレスマネジメントスキルの習得を目指しましょう。